オンワードビーチリゾート
【談 第1事業部 M町】

見渡せどもSGの人間は僕とM木くんだけ・・・。
8:30ロビーにかっちり集合してガイドのNさんと話し込んでいると、観光案内の人が僕らを迎えにくる。
2人で若干の寂しさに包まれながらも、オンワードビーチに思いを馳せバスに乗り込んだ。

「他のホテルにも寄りますから」

と言われて乗り込んだのに、バスは『オンワードビーチ』に直行。
戸惑う僕らに特に何の説明もなかった。
おそらく、他のホテルの人は行かないのだなと暗に示されたようだった。
僕はなんとなく嫌な予感を感じていた。


観光案内の人に連れられて入り口まで行くも、なぜかシャッターが降りていた。

嫌な予感はさらに高まる。


何故、ここまで連れてこられているのに、シャッターが閉まっているのか理解できず、訝しげな顔をしている僕らの元に案内人が来て一言。

「9時半にならなきゃ開かないんだよ」

8時半に集合して、

寄り道もしてないから、


時刻はまだ8時50分。



「ヲイヲイ。チョットマッテクレヨ。
 9時半にならなきゃ開かないんだったら、
 バスは9時集合でも間に合っただろ〜!
 30分寝坊できたら随分ゆっくりだったのに!」

などという暇もなく、去っていく案内人。
反面、取り残され、唖然とする僕ら。
グアムの案内人の適当さを最初に感じた瞬間だった。


さて、僕らが訪れたオンワードビーチリゾートは、海でのシュノーケリングやジェットスキー、パラセイリング、カヌー漕ぎなど、結構色々なことが楽しめるスポットだった。
海水浴場の他にも波を人工的に起こしているプールや流れるプール、子供用プール、高さ十何メートル上からボートのようなもので落下する通称「マンタ」という絶叫系の遊具なんかもあった。
なんとなく子供連れが多かった印象を受けた。
子供連れでも充分楽しめそうなスポットっていうことなんだと思う。


海がベタベタするから嫌だ、

とか、

珊瑚が痛いから海はチョット、

なんていう人にはお勧めかもしれない。


海も割と空いていて占領感もあったし、アクティブに動きたい人にも結構オススメ。


そんなスポットで、僕らは結局9時半まで海岸をうろうろ。
現地のスタッフの人がこちらの気も知らないで陽気に歌いながら話しかけてくる。

「ジェットスキーかい?
 パラセイリングかい?
 でも・・・9時半からしか開かないよ〜」


わかっとるわい!



・・・って英語で言うにはどう言ったらいいのか、咄嗟に出てこず口がパクパクしていた。


まぁ、そんなこんなで9時半を向かえ、ロッカールームで無事着替えも済ませることができた。
意気揚々とビーチに行ってみると事務所みたいなところのホワイトボードに

「M町 : パラセイリング:10時20分、ジェットスキー11時40分」

と、書いてある。


・・・・・・アレ?
パラセイリングは強制デスカ!?


正直、高いところ苦手だから、見てるだけにしてようと思ってたんだけど・・・などという言い逃れの余地もなく、「時間の10分前になったら事務所に集合」とのこと。
わざわざグアムに来たんだからと自分を慰めつつ、苦笑いをしてごまかしていた。


とほほ。


ただ、9時半に開いて10時20分集合だと、すごい間が開いてしまうんですが・・・

と、ここで機転の効くM木くんが時間があるから、シュノーケリングをしようと提案してくれて、シュノーケリングセットを借りて、アドレナリンが溢れまくった脳みそと共に海へとダイブ。

浅い海だ、魚なんてそんなにいないだろうなんて思ってたら、いるいるいるいる。


むちゃくちゃいっぱいいる!



日本だと熱帯魚屋さんの店頭でしか見かけないような魚が目の前にいっぱい!
オンワードビーチは次の日に訪れたココス島に比べて、そんなに透明度が高い海ではなかったみたいだけど、海面下にすぐ魚が見えるっていうのは僕らにとってはすごい衝撃だった。

持参した水中用のカメラで撮りまくり。
シュノーケルの吸気口に塩水が入って咽るなんていうお約束をやっていたら、あっという間にパラセイルの時間になってしまった。


パラセイルはチョット離れた場所から船に乗って行くみたいで、言われるがまま車に乗り込んでパラセイル用の船着場まで移動。
このまま拉致されたら携帯電話もないし日本には帰れないなぁ。
なんて思っていたけど、無事船着場へ到着。
一安心。


日本だと水が淀んでしまいそうな船着場まで水が透明で澄んでいることに驚きつつ、漁船みたいな船に乗り込み、一気に外海へ。
スピードに乗る船の上で南国の気持ち良い風を味わった。
ふと、海の方に目をやるとホテルの周りやビーチの周辺よりも水の色が濃くなっているのがわかった。
これは船から落とされたら泳いで帰れないなぁという距離まで来て、船が止まった。


船員の1人、と言ってもたった2人のクルーなんだけど、その1人が僕らに向かって「こっちに来て!」と言う。
小さな船だ、来いと言われてたいして移動するような場所はない。
船のエンジンの上、人が2、3人やっと立てるかという所に進むと、船員は慣れた手つきで僕の体をパラシュートにつなぐ、結構、乱暴だなと思っているとその後ろに同行者のM木くん。
これまたテキパキとつながれている。
1人ずつ飛ばされるのかと思っていたので、1人増えて少々安心した。


・・・と思ったのも束の間。


急にボートはスピードを出し、パラシュートは風を受けて空へと舞い上がる。
まるで、漫画に出てくるような忍者にでもなったような気分だ。
どれくらいの高さまで行ったのかはわからないが、船員も豆粒のように小さくなり、遠くに見える高台のホテルと目の高さがあった。

足元は何も踏ん張るところはなく、目下に広がるのは紺碧の海。

遠くに僕らが船に乗り込んだ船着場が見える。
グアム、フィリピン海からの眺めだ。
グアム 小さな島だ。



でも、僕が今まで見た中で一番美しい海と島だと思わずにはいられなかった。



まさに絶景だった。
程なくして、船がスピードを落とす。

「終わりか…」

と思っていると、パラシュートをつけた僕らはゆっくりと下降し、そのまま海にボチャン。

船員たちは引き上げてくれる様子もなく、こちらを眺めながら何か叫んでいる。

「サメの餌!!足上げて〜」

!?サ、サメ!?



僕が驚いた顔をすると、船員はにやりと笑ってエンジンを掛ける。

また急にボートのスピードが上がり、天高く体が持ち上がっていく。


内心


いじめか?!



と思いつつも、ゆっくり下降するのもすごく気持ちが良くて、ずっと笑っていた。
後から聞いたところ、サメはいないし、みんなにやっていることなんだとか。


ちょっぴり、びっくりした。


高所恐怖症な2人だったが、何故かパラセイリングは大丈夫だった。
というか、「高所恐怖症なんです」なんて言う暇なかったし、綺麗過ぎて現実味がなかったから大丈夫だったという方が正確な気がする。
だが、紐と布だけで何十メートルもの高さに浮かんでいて、そこから急に落とされたということを考えると、今更ながら足が竦む思いがする。

パラセイル体験から帰って来ると、また30分ほどの空きがあった。
若干の憔悴が見られた僕らだったので、休憩が取れればそれはそれでうれしかったと思う。

しかし、グアムの人たちのテンションは半端ではない。
容赦ないと言い換えても良いだろう。


帰って来た途端、

「次いけるかい?」

って聞いてくる。
まぁ、大丈夫。

なんて応えようもんなら、


「オォォッケェェイ!!」



とものすごいテンションで言われて、そのままジェットスキーに突入することになった。


パラセイルも初体験なら、ジェットスキーも初体験の僕ら。
ジェットスキーにはアクセルしかなく、ブレーキは水と機体との摩擦だけだ。
水の抵抗はすごいもので急激にブレーキがかかる。
すごいスピードを出して急にアクセルを完全に離すと、急ブレーキを掛けた車のように体がガックンガックンなってしまう。
それにハンドルの切り方も独特で、ちょっと動かしただけですごくよく曲がる。

ただ、それはスピードが遅いときで、速度が出ている時はかなり曲がらない。
体を傾けてもあまり変わらない。
コーナリングはなかなか難しかった。
だが、僕ら2人は南国に向いているのか、思うように動かせるようになるのにそんなに時間はかからなかった。

海の上ですごいスピードが出る!
そのことが二人のやんちゃ心を刺激したんだろう。
障害物のない海の上で風を受けるのはとても気持ちがよかった。

ジェットスキーに乗り慣れ、もっと遠くまで行ってみたいなという願望が沸いたところでジェットスキー終了。
これはちょっと残念だった。
もっと遠くまで行けるプランがありそうだから、今度行くことがあったら絶対海の上を暴走してみせると心に誓う僕だった。

ジェットスキーが終わった時には11時半くらい。
2人とも腹ペコだったので昼食をとることに。
昼ごはんはハンバーガー。

アメリカンな感じで日本のファストフードよりも格段にでかかった。
それもポテトはセットになっているから、かなりのボリューム。
結構満足だった。
1つ難癖をつけるならアジア系のお姉さんが出してくれたので、なんとなく日本のファストフードみたいだなと思えたところだ。


お姉さんが綺麗だったからまぁ、いいけど。



空腹の2人はムシャムシャ食べ、またも海へと遊びに行く。
事務の兄ちゃんが「今度はカヌーだ。」とまたも半ば強制的に決定。
オールを抱えて2人乗りのカヌーに乗り込む。

カヌー・・・これまた2人とも初体験。

ちょっと離れた島までえっちらおっちら漕いで漕いで。
筋肉痛になるんじゃないかと思うくらいに漕ぐ。
最初のうちはオールが当たったり、すぐに曲がってしまったりしたけど、そのうちお互いペースを掴んだ。
どうも僕ら2人はそういうコツはすぐ掴んでしまう2人らしいと思った。


ずんずん進んで小さな島まで行くと、そこには・・・

特に何もない。



ジェットスキーで通り過ぎて行く地元の人が気持ちよさそうだなぁ。
オンワードビーチがみえるなぁ。
なんてぼーっと眺めるだけだった。
これもちょっと残念。
やっぱり沖の方に行くには経験がなさ過ぎたか?
残念。

30分で終了と言われていたので、ちょっとしたらすぐ陸地の方へと舵を取り直す。
行きよりも断然2人の息が合ってすごいスピードで陸地に向かった。

陸に戻って道具を返却すると、その後はすることがなくなった。
前半に楽しいのが固まりすぎなのが、オンワードビーチリゾートなのか?!

テンションが高かった兄ちゃん達も少なくなっていて、なんとなくテンションが下がり気味だった。
まぁ、そうは言ってもまだ遊べるところはあるだろうと、海から上がって今度はプールの方へ行ってみることにした。
波が起こるプールではボディボードっぽく波乗りが楽しめるらしい。
だけど、ボードのレンタル料金$10。


たかが$10、されど$10。


今思えば、グアムにしては安かったかな?
って思えるけど、2日目というまだ見慣れぬ土地にして「ボード1日1000円ちょっと」は高いと思えてしまった。

そんなこんなで、流れるプールだけをとぼとぼ歩いて、日差しが最高潮に達しそうなときにホテルに帰ることに決めた。
やはり前半戦が過激すぎて疲れが出たみたい。
その前日は飲み会だったし、みんなでご飯食べた後も海で騒いでたのが効いたみたい。

ホテルに帰ったら、3時間くらい眠ってしまった。
日焼けした腕がベッドに摺れて少し痛かったが、心地よい疲れ、心地よい眠りだった。